タカショーの雑多な部屋

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十二士島(じゅうにしじま)連続獣化事件〜壱〜(※R18指定)

前回の

十二士島(じゅうにしじま)連続獣化事件〜零〜 - タカショーの雑多な部屋

 

 

<登場人物紹介>

壱場睦樹(いちば・むつき)

1月8日生まれ

高校3年生

176㎝ 51㎏

O型

 

※AIに生成させた壱場睦樹のイメージ画像

 

 幼少期から読書が好きで、10歳で小説を書き始める。13歳の時に出した『僕が君になる前に』が鷹杉文学新人賞と芥川賞を同時受賞し、200万部の大ヒットを記録。後に実写映画化され、本人も脇役で出演した。しかし、以降の作品は売り上げが伸びず、評論家からの評価も今一つで、デビュー作の盗作疑惑が浮上している。恋愛小説路線をやめ、最近はミステリー小説に挑戦している。

 どんなに忙しくても、1日1冊の本を読み切るルーティンを続け、ここ3年は継続できている。

 遺産の使いみちは、自身の小説を実写映画化して、主人公役で出演することである。

 

<前回までのあらすじ>

 事故死した十三(じゅうそう)閏支郎(じゅんしろう)の莫大な遺産を相続するため、彼の私生児である12人の子ども達が、十二士島(じゅうにしじま)に集まった。

 彼らは仲良く昼飯を食べていたが、突然、1人の子どもが悲鳴を上げる。

 

 

<本編>

「うわあああああああああああ!」

 

 突然、ソーシローが顔を両手で覆って、立ち上がった。彼の体は非常に熱くなっていて、叫ばずにいられなかった。

 

「ソーシロー、大丈夫デス?」

 

 霜奈(そうな)が尋ねても、彼は返事できない。彼の両手に茶色い毛が生えて、人肌の部分を減らしていく。耳が尖って、頭部へ移っていく。

 

「グググ、アアア……」

 

 彼の口が開いて、全ての歯が犬歯のように尖りだした。鼻が黒ずんで前へ伸び、人からかけ離れた顔つきへ変わる。燕尾服がだぼだぼになり、彼自身の体が縮んでいるようだ。

 

※AIに生成させた燕尾服を着た柴犬の少年のイメージ画像

 

「優卯美(ゆうみ)ちゃん! 何か薬ない?」

「きゅ、急に言われても……」

 

 周りの皆はどうすることも出来ず、ソーシローの異変を見るばかりだ。

 ついに、ソーシローは服の中に埋もれ、中でもぞもぞと動いている。ズボンがずり落ちて、茶色い丸まった尻尾が現れる。

 

「ウップス!」

 

 服に入ったままイスの上で回り出し、止まろうとしない。如華(じょか)は燕尾服やシャツを取っ払って、彼の視界をクリアにした。

 

「オーウ! みな、ジャイアント!」

 

 ソーシローの目には、皆が巨大化したように見えるが、実際は逆である。ソーシローは小さい柴犬に変わってしまったのだ!

 目の前で起きた不可解な現象に、皆は驚きのあまり固まってしまう。そんな中、優卯美が壁の方に置いていたトランクへ駆け寄り、何か取り出してきた。それは薬物の簡易検査キットだった。

 

 彼女は開けたソーシローの口にスポイドを刺して唾液を採取し、検査キットの中へ入れる。

 

「薬物反応があるか調べるのか?」

「ええ。薬物の過剰摂取の可能性があるから」

 

 睦樹(むつき)は推理小説を書いているため、やや化学の知識があった。数分待てば結果が出る。

 

「反応ナシ。薬物の混入は無い、と」

「料理に毒が盛られたんスかね」

「毒見してやる」

 

 生弥(せいや)が食べかけのサンドウィッチをひょいとつまんで、口の中へ入れる。

 

「ちょっと! 不用意に食べたら、あなたも変身するよ!」

「生弥の食い意地はどうしようもねぇな……」

 

 生弥は満面の笑みで口一杯にほおばっている。皐井斗(さいと)は犬になったソーシローをスケッチし、長江(ながえ)は一心不乱に謎のお経を唱え始める。

 

「うん。何ともないぜ!」

「サンドウィッチに毒はなかったか」

「ちゃんと味見したから、大丈夫ヨ!」

「食材の段ボール箱も未開封だから、誰かが意図的に入れた線は無いよ」

 

 水麗(すいれい)と如華の言う通りなら、ソーシローの変身のトリガーはサンドウィッチではない。睦樹は首をひねって考え出す。

 

「サンドウィッチじゃなかったら、怪しいのは机だな。座る場所は決まっていたから、ソーシローだけ狙うことが出来る」

「推理もいいけど、人を犬に変える薬ってあるんスか? ノーベル賞モノだと思うッスよ」

「一応、サーティーン理科学研究所では、人を動物に変えるTF薬の研究を行ってた。試作段階で、人間への投薬はまだだけど」

「ええ? じゃあ、ボク達が実験対象ってコト!?」

 

 神助(しんすけ)が素っとん狂な声を上げて、頭をかきむしり始める。

 

「どうして、そんなことを?」

「だって、遺言状の文章読んで下さいよ。30日までに島にいた人間にのみ相続権与えるってことは、人間じゃなかったら一銭も手に入らないということじゃあ?」

「オーノー。ミーはマネーゲットできない……。クゥン……」

 

 ソーシローはうなだれて目を閉じる。如華はしゃがんで、優しく彼の頭をなでてあげた。

 

「なるほど。その理屈で行けば、怪しいのは優卯美さんッスね」

「あたしが遺産を独占するために、他の兄弟を動物に変える極悪人とでも言いたいのかしら」

 

 優卯美が腕組みして冷ややかな笑みを浮かべる。葉太(ようた)は彼女の圧に負けて、「確率は10%ぐらいッスよ!」とお茶を濁した。

 

「一番犯人に近いのは、十三氏だと僕は思うよ」

「十三氏は故人ッスよ」

 

 睦樹は葉太に胡乱(うろん)な目で見られても、動じることなく説明する。

 

「いいかい? 遺言状の文句を自由に変えられるのは十三氏だし、この館に色々な仕掛けることも出来る。何より一番気になるのは、彼の遺体が見つかってないことだ。偽装自殺もありうる」

 

 今から1ヶ月前、十三氏は愛車の運転中に崖から転落した。目撃者によると、落ちた車はすぐに爆発し、助ける時間もなかったという。警察や自衛隊の懸命な捜索もむなしく、彼の遺体は見つからなかった。

 

「研究所の副所長が、1ヶ月間音信不通だったから、生前の約束通りに遺言状を公開したと言ってたわ」

「遺産を子ども達に与える気は、さらさら無かったってコトかぁ!」

「いや、でも、まだ彼を犯人と決めつけるのは……」

「エヘン、エヘン」

 

 文吾(ぶんご)が大仰にせき払いして、皆の会話を止める。彼は皆に見えるように、パソコンの画面に生前の十三氏を映し出す。

 

「いやぁ、私の一代限りにしたくないですよ、この会社。AIでも、ロボットでも、何でもいいから意識だけ残して、会社の経営に口出せたらいいですねぇ」

 

 十三氏がカメラ目線で笑いながら喋っている。何かのインタビュー動画のようだ。

 

「あっ、文吾君。さっきの所はカットしてね。うちのPRと全く関係ないから」

 

 文吾はそこで動画を止める。彼はキーボードに文章を打って、自らの考えを示した。

 

「これは、あくまで僕の考えですが、十三氏は何らかの方法で生存し、自分の子ども達を動物に変えて、自らの座を奪う存在を消そうとしているようです」

「TF薬の研究は、そのためだったと言うの? 何ておぞましいのかしら」

「孤島に集めたのも、他人に邪魔されたくなかった訳か」

「ノン! ジュ―ソーさんはそんな人じゃないデス!」

 

 今まで全く口を開かなかった霜奈が発言する。彼女は涙をにじませて、震え声で喋り始める。

 

「だって、あの人……、ジュ―ソーさん、私の歌声、褒めてくれたデス。マイクやヘッドホンもプレゼントしてくれたデス。それで、歌手になれたデス」

「うちも同じ意見ヨ。十三さん、うちの店の料理、とても美味い言ってたヨ」

 

 水麗も霜奈の意見に乗っかる。如華はうなずきながら、霜奈に涙をぬぐうためのティッシュを数枚渡した。

 

「まぁ、ミステリーかじった作家さんの推理ッスからね」

「何だと?」

「まぁまぁ、皆さん。ここは、十三さんがこの島にいるかどうか、はっきりさせるってので、どうでしょうか?」

 

 神助が、犬猿の仲の睦樹と葉太の間に割って入る。

 

「十三氏の存在証明をするなら、カギになるのは彼の匂いや指紋。霜奈ちゃん、プレゼントされたマイクやヘッドホン、持ってるかしら」

「はい。お守り代わりに持って、まだ使ってないデス」

「おお。それなら指紋取れそう」

 

 霜奈はバッグの中から重箱を取り出し、それを開け、中身のマイクやヘッドホンをテーブル上に乗せる。優卯美は指紋採取セットを取り出し、マイクやヘッドホンに付着した指紋、霜奈や他の9人の子どもの指紋を取っていく。彼女は遺産相続を巡って殺人事件が起きた時に備えて、そのセットをわざわざ持って来ていた。

 

「ソーシローの指紋は、このスプーンに残ってるかしら」

「慣れてるなぁ。警察の鑑識やったことあるのかい?」

「刑事ドラマの見よう見真似よ」

 

 優卯美は皆の指紋の一覧表を作成する。次に、テーブル上の指紋を取って、12人以外の指紋が無いか確認する。

 

「ああ!? 十三氏の指紋があった……」

 

 冷静な口調の優卯美が、珍しく声を張り上げる。

 

「マジで!?」

「でも、昔の指紋じゃないッスか」

「それはない。なぜなら、皐井斗君の指紋の上に付いているから」

 

 皐井斗の絵の具で汚れた指紋の上に、大きな指紋が重なっている。その指紋は、霜奈のマイクに付いていた指紋と一致する。ソーシローがヘリコプターで降りた時、皆がテーブルを離れているので、その時に付いたものだろう。

 

「次は臭いだな! 十三氏の臭いを追いかけようぜ!」

「臭いをたどるなら……」

 

 皆の視線が、ソーシロー犬に集中する。如華が慌てて彼の前に立ち、両手を横に広げる。

 

「ちょっと、皆さん正気? 元は人間の子どもなのに、警察犬のようなことをさせるなんて、酷いですよ!」

「でも、それが一番確実だから」

 

 優卯美は冷たく言い放つ。

 

「足跡でたどるのはどうだ?」

「OK。ミーはドッグとしてトライします!」

 

 ソーシロー犬は尻尾を振って、軽やかに答える。如華は「それでいいなら」とつぶやいて、彼から離れる。優卯美は手の甲をソーシロー犬の鼻先に近づける。

 

「今から皆の臭いを嗅いで、ここにいない人の臭いがあったら、それを追っかけてちょうだい」

「OK!」

 

 ソーシロー犬は次々と皆の臭いを嗅ぐ。絵の具臭い皐井斗を嗅いだ時だけ顔をしかめたが、おおむね笑ってるような顔つきで鼻を動かしていた。

 

 そして、十三氏の臭いを見つけると、地面に鼻を近づけながら、ゆっくり歩いていく。彼は厨房へ行き、外へ出るドアの前で立ち止まる。

 

「ワオーウ! まだコンティニュー」

「よっしゃ! 犯人捕まえたるでー」

「ちょっと待って。こんなにぞろぞろ出て行ったら、犯人に気づかれてしまうでしょうが」

 

 ソーシロー犬の後ろに、11人の子どもがついていた。さながら大病院の院長の回診の行列のようである。

 

「そうだね。数人ぐらいにしないと。この中で一番体力のある生弥は、ソーシローの後について」

「りょ! ボールとバット持っていこ」

「じゃ、私も行くデス! ジューソーさんかどうか、確かめたいデス」

 

 霜奈は真剣な眼差しで、睦樹と優卯美を見る。

 

「いいよ。でも、危なかったら、すぐに逃げるんだよ」

「ハイ!」

 

 ソーシロー犬が十三氏の臭いを追って、その後ろを生弥と霜奈がついていくことになった。他の9人は屋敷内で、彼らの無事を祈る。

 

***

 

 ソーシロー犬は順調に臭いを追っている。ソーシローは柴犬なので、尻の穴が2人に丸見えだが、今の彼に恥ずかしい気持ちはない。ただ、早く皆の役に立ちたいという思いが、彼を突き動かしている。

 彼が気にしなくても、後ろの霜奈は穴がむき出しで恥ずかしくないのかと、少し頬を赤くしていた。

 

「四本足で歩いてるけど、辛くないの?」

「ドンウォーリィ! スムーズに行けます!」

 

 ソーシロー犬は調子に乗って、少し歩調を速める。生弥は尻の穴に目がいき、もしオナラしたら直に俺達に届くなと、不安を覚えた。

 彼らは洋館近くの神社の長い石段を登っていく。ソーシロー犬と生弥は平気だが、霜奈はきつそうに息を荒くする。

 

「霜奈ちゃん、ちょっと休むか?」

「平気デス!」

 

 霜奈は少し遅れながら、ソーシロー犬の後を必死について行く。生弥は華奢な見た目と違って根性があると、感心している。

 

 どうにか神社の鳥居の下にたどり着くと、異様な光景が広がっていた。

 

「何じゃこりゃあ……」

 

 鳥居から本殿にかけて、動物の石像が狛犬のように並べられてあった。右は手前から蛇、龍、ウサギ、虎、牛、ネズミ、左は手前から馬、羊、猿、鳥、犬、イノシシの石像が並んでいる。

 

「神助がいたら、この神社の像のことわかるんだけどなぁ」

「ちょっと怖いデス……」

「フンフン! ウッ!」

 

 ソーシロー犬は犬の石像の前で立ち止まる。彼の前が石像の犬の目と合って、妖しく赤く光り出す。

 

「おい! どうしたんだ?」

 

 生弥に問いかけられても、ソーシロー犬は何も答えない。すると、低くうなり出して、体が沸騰した湯のごとくボコボコ脈打ち始める。

 

「キャア!」

 

 柴犬の体が膨れ上がり、人間と同じぐらいになる。彼が立ち上がると、生弥よりも高い長躯だった。腹は6つに割れ、腕や足が丸太のように太くなっている。

 

※AIに生成させた筋肉隆々の柴犬獣人のイメージ画像

 

 

「フゥフゥ、ハァハァ……」

 

 ソーシローの顔は理性を無くし、ケダモノのようによだれを垂らして獲物を見下ろす。

 

「ウッ! メス!?」

 

 ソーシローは霜奈の方を向いて飛びかかる。

 

「メスゥゥゥゥ!」

「キャアアア!」

「やめろっ!」

 

 生弥はバットをフルスイングして、ソーシローの腹にぶち当てた(絶対にマネしないで下さい)。ソーシローは尻もちをついて倒れる。彼の目は生気が戻り、キョロキョロ辺りを見回す。

 

「ホワット? ミー、何してた?」

「俺よりもいい体つきになりやがって、こいつぅ!」

 

 生弥はソーシローの白い腹筋をなでる。ソーシローは自らの腹を見て、やっと変化に気づいた。

 

「ノーウェイ! マッチョメンになってるぅ!?」

「これで、犯人もワンパンで倒せちゃうな」

「ラジャー! ミスター・ジュ―ソーのスメル、スメ、ホワット?」

 

 十三氏の臭いが、股間からのイカ臭さに消されてしまった。ソーシローの男根は赤黒いウインナー状で、根元に野球ボール大のコブがある。先端は精液で濡れていた。

 

「クッサ! お前、何、おっきしてんのぉ!」

「ワァ……、とても大きいデス……」

 

 初めて見る巨大犬チンが、霜奈は気持ち悪いを通り越して、神々しい物に見えてきた。

 

「アッ、アッ、コレ、どうすれば?」

「あっ、そっか。初めてなんだな。手伝ってやるよ」

 

 生弥が犬棒を握って軽くしごいてやれば、噴水のように精液が弾け飛ぶ。霜奈はハンカチで口元を覆い、顔をしかめる。

 

「オー、フィールファイン!」

「ハァー。まさか、デカ犬の精処理するとはなぁ……」

 

 生弥はあきれつつも、ソーシローの精抜きを手伝ってあげた。

 

***

 

 ソーシローがマッチョ犬獣人になって戻ってきたので、居残り組は驚愕する。

 

「一体何がどうなってんの!?」

「生命の神秘?」

「これは描かないとなぁ」

 

 皐井斗はスケッチブックに、猛烈な勢いでソーシローの姿のラフを描き出す。

 

「生弥、犯人は見つかったのか?」

「いやぁ、それが、ソーシローが神社の犬の像と目が合ったら、急に筋肉ムキムキになってさ。そんで、オナ、臭いが途切れて追えなかったんだ」

 

 霜奈を襲おうとしたことと射精の部分は伏せた。

 

「この島の神社について、何か知ってるデス?」

 

 神助は胸を張って、十二士島の神社について語り出す。

 

「もちろん! 西軍の12人の武士がこの島に着いたのは、皆さん知ってますよね? 実は、彼らの名前に動物の名前が付いていて、それぞれの動物を鎮魂の像として建てたんです!」

「墓じゃなくて、像を?」

「はい。この島に来た途端、犬のように吠えたり、鳥のように鳴きわめいたりと、奇怪な行動を取って狂う人が続出したので、有名な呪術師に除霊をお願いしたそうです。その結果、12人の悪霊を、石像の中に封じ込めたと伝えられています」

「それ、最初の時に、何で説明しなかったんスか?」

「史実でない作り話っぽいので、伝えなくてもいいかと思っちゃって。でも、こうやって、ソーシロー君が筋骨隆々の犬になってるということは、あながち作り話じゃないのかも」

「つまり、十二士島は、12人の武士と十二支のダブルミーニングというわけね」

 

 睦樹は深くうなずきながら言う。

 

「じゃあ、うちらはその動物に変えられるヨ?」

「変身のトリガーがわからない内は、何とも言えない。とにかく、元に戻す薬の開発に取り組むわ」

「うーん。ミーはこのままでもグッド」

 

 ソーシローはサイドチェストやダブルバイセップス・バックなどのボディビルダーのポーズを取って、筋肉美を披露していた。

 

 しかし、急に風船の空気が抜けたように、彼の体がしぼんでいき、元の柴犬の姿に戻ってしまう。

 

「ワオン。リトルになった……」

「犬人間の形でいられるのは短時間だけか」

 

 ソーシロー犬は頭を垂れて、細くなった脚を見てガッカリしている。皐井斗もマッチョ犬獣人のラフが途中だったので、頭の髪をクシャクシャにして悔しがっていた。

 

 その後、皆は2階に上がり、荷物を各自の部屋に入れる。

 部屋は時計回りに漢数字の番号が刻まれている。案内状通りに、壱の部屋は睦樹、弐の部屋は如華といった順番に入っていく。

 部屋の中は高級ホテルみたく、フカフカのベッドや飲み物の詰まった冷蔵庫があり、TVは無いが、とても快適な仕様だった。

 夕方6時の入浴まで、自室で過ごす者、料理に取り組む者、外で運動する者に分かれた。

 

***

 

 夕方6時になり、入浴の時間になった。この洋館は大浴場が1つしかないので、女子→男子→ソーシローの順番に入ることになった。

 脱衣所の女子達は大浴場に心躍りながら、服を脱いでいく。

 

「風呂洗ったの男子達だから、まだ誰も見てないよね?」

「ハイ。楽しみデス」

 

 如華は他の女子に比べて自分が太っていることに、劣等感を抱く。特に、長江はAV女優ばりに大きな胸とモデルのような腰のくびれを持つ、グンバツなスタイルだった。10歳でこの体だと、将来が恐ろしい。

 

「長江さん、それ付けたまま入るヨ?」

 

 水麗は長江の手首の数珠を指差す。長江は数珠を見て、ふと陰知己教の教会を思い出す。

 

「ええ。これを付けると陰神の加護が得られ、外すとたちまちにして災難がもたらされる。あな恐ろしや、恐ろしや!」

「フン、くだらない! 神なんて、人間の脳が作り出したまやかしよ」

 

 やせぎすの体の優卯美が長江を挑発する。

 

邪教に染まった凡夫にはわからないでしょうね」

「そんなモノ、一生分からなくていいわ!」

「ちょっと、ケンカやめて。仲良くしましょう、ねっ?」

 

 如華がなだめても、優卯美と長江は互いの顔を見合わせず、口を聞こうとしなかった。

 

「世界の戦争が無くならない理由ヨ」

「悲しいデス」

 

 水麗と霜奈が小声でつぶやく。

 

***

 

 大浴場は露天風呂の岩場になっていて、石のライオンの口からお湯が流れている。

 

「ひっろーい! こんな風呂、初めて!」

「このお湯の成分、後で調べましょう」

「神様、ありがとうございます」

「いい温泉卵作れるヨ」

「日本のフロ、最高デス!」

 

 皆はシャンプーやリンスで体を洗ってから、風呂に入る。風呂の温度は体温よりやや高く、丁度良い湯加減だ。皆はえびす顔になって、まったり湯船に浸かる。さっきまで争っていた優卯美と長江も仲良く並んで浸かっていた。

 

「サウナや水風呂もあれば、もっと良くなるヨ」

「改造してお客呼んじゃう?」

「それいいヨ!」

 

 水麗と如華は温泉旅館を思い描く。

 このまま、幸せな入浴時間が続いてほしいと、皆は思っていた。

 

「いやあああああああああああああああ!」

 

 1人の女子の悲鳴から、連続獣化事件の第二幕が上がる!

 

(続く)

月刊モー想科学 7月号の感想と考察(妄想)

<前回までの感想>

月刊モー想科学 1月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 2月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 3月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 4月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 5月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 6月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

 

 

www.youtube.com

 

 今回はTF成分控えめでした。

 

7月号のストーリー振り返り

 VIPオンリーのお見合いパーティーに何故か招待されたタローとゴロー。当然のごとく、モーパーツを奪おうとするエドワード・チー社長の企みで、モーパーツを奪う稚拙なトラップを仕掛けられる。

 最後に、牛獣人になったジローがタローを救出して、モーパーツは無事に死守。今回は新しいモーパーツが出てこなかったので、新たな変身者は現れませんでした。

 

<各キャラの感想>

タロー・J・鈴木(マッチョ虎獣人になる専業主夫志望)

 今回はアニメ開始から初めて虎獣人に変身しなかった。

 月刊モーの仲間が好きなことに気づいて、プロポーズをためらう。その回想シーンで、虎獣人になってみんなとダンスするシーン流れたんだけど、記憶にないはずでは?

 

ジロー(牛獣人になる少年)

 タローの月刊モーの仲間が好きな発言に頬を染めてたし、牛獣人になってタローをお姫様抱っこしてたし、もうジローとタロー結婚しろ!

 今回、モー大陸の記憶が鮮明に蘇ったようだけど、これがどういう意味を持ってくるか楽しみ。

 

エドワード・チー社長

 社長自らがモーパーツを盗りに行くが、盗りに行くタイミングをつかめず失敗。無能スギィ! 育ちが良い設定が判明したので、ホワイト・ペガサス社は自分で創ったのではなく、2代目なのかな?

 

 

 次回予告の先行カットで、リラ(弦楽器)を持つ古代ギリシア風の男がいたので、もしかしたらサブローが変身した姿かも?

 モーパーツは、人間を獣人、動物を人間に変えるということか。結局、モータリアンって何なん!?

 

 

月刊モーの公式サイト↓

https://moh-scientific-anime.com/

 

 

<8月号以降の感想>

月刊モー想科学 8月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 9月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 10月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 11月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 12月号の感想 - タカショーの雑多な部屋

福岡ソフトバンクホークス(パワプロ2022再現チーム)ドカベン ドリームトーナメント編

 ドリームトーナメント編時では、ソフトバンク水島新司作品のキャラが多数入ったので、それを再現してみました。

 昨季で引退・戦力外・トレード放出された選手を外して、水島キャラを入れてます。

 

パワナンバー:21500 10001 411594

 

<選手>

01 池畑三四郎

showtakasugi.hatenablog.jp

 

02 乱丸(らんまる)

パワナンバー:11300 31076 45514

 

 東京メッツの正捕手だったが、鹿島入団後に控え捕手に降格。打撃や肩は弱いものの、俊足。

 

03 村雨周道

showtakasugi.hatenablog.jp

 

04 根倉(ねくら)

 

 

パワナンバー:11900 11084 71383

 

 とにかく暗い選手。味方の雰囲気も悪くするので、ムード×をつけた。

 

05 音武田祭

showtakasugi.hatenablog.jp

 

06 荒木新太郎

showtakasugi.hatenablog.jp

 

07 白川虎之進(しらかわ・とらのしん)

 

 

パワナンバー:11500 90974 76297

 

 入団時に全ポジション守れると豪語した酔いどれ選手。実際は外野しか守ったことがないので、他のポジションの守備適正は低くしてある。

 ピッチャーとしてはゆるゆるのナックルを投げる。

 

08 青空晴太(あおぞら・はれた)

パワナンバー:11300 10965 21484

 

 岩鬼みたいに学生帽をかぶってプレイする。ヒットを打つ度に給料がもらえる契約を結んでいる。札幌華生堂メッツ時代はショートでプレイしたが、ドリームトーナメント編ではセンターを守った。

 

09 大垣万作

パワナンバー:11600 01178 58232

 

 山田2世と呼ばれ、座ったまま送球できる強肩を誇る。犬飼小次郎監督登板時にキャッチミスや悪送球で10失点した後、相撲力士に転向。前頭5枚目で引退し、2012年からソフトバンクに現役復帰している。

 

※隠しキャラ

90 景浦安武

showtakasugi.hatenablog.jp

 

 実際にはドリームトーナメント編に登場してませんが、出版社の許可が取れたら出す予定という噂があるため、特別に入れました。

 三冠王を獲った全盛期の姿なので、代打はもったいないので、4番レフト固定で使ってみてもいいでしょう。

 

 

<選手起用法>

 

 

 連載当時の選手は入れてない(めちゃ時間がかかる)ので、本気で再現したい人はこれを参考にして完全再現してみて下さい↓

w.atwiki.jp

 

 なお、パワプロ2024が近日中に発売予定ですが、多忙のため、購入見送りか、購入しても野球漫画の再現選手作りは行わないと思います。

 

 

90点台後半連発! ついにJOYSOUNDで高得点取るコツつかむ?

前回のカラオケ↓

showtakasugi.hatenablog.jp

 

 先月のカラオケ同様、レパートリー2000曲チャレンジで91点以上を記録した曲やサビカラを歌っていきます。

 

手嶌葵「明日への手紙」

 

 序盤の万全な状態での裏声も、前回と同じ95点台。この曲はこの点数が限界ですかね?

 

尾崎紀世彦また逢う日まで

 

 二人でドアをしめ―て―

 100点に肉薄するも、5回ぐらい歌って100点ならず。次は100点狙いたい。

 

T.M.RevolutionWHITE BREATH

 

 意外と点数が伸びた。西川さんの歌声は、自分には少し高いので、キー♭1で歌いやすくなるか?

 

RADWIMPS「グランドエスケープ」

 

 天気の子の挿入歌。女性パートと男性パートの歌い分けに慣れたら、90点台後半に近づくかも。

 

菅田将暉「さよならエレジー

 

 この曲と「虹」が途中まで94点台だったので、菅田将暉さんの歌唱声域が合ってるのかもしれない。

 

あいみょんマリーゴールド

 

米津玄師「KICK BACK」

 

 この歌を歌ってた時に地震が発生したが、全く気付かなかった。カラオケ店の火災で閉じ込められる事件があっただけに、非常口を確かめとかないとね。

 

松山千春「長い夜」

 

「長い夜」が初の95点獲得

 もしかして、最近の難しい音程の曲を歌ってきたことで、昭和歌謡や90年代前半の曲で高得点が獲れるのではないか。

 そう思って、次々と懐メロを歌い始める。

 

チューリップ「サボテンの花

 

高橋真梨子「桃色吐息」

 

薬師丸ひろ子セーラー服と機関銃

 

 出るは出るは97点オーバーの高得点!

 

郷ひろみ2億4千万の瞳

 

 自身3度目、この曲では2度目の100点獲得。

 やったぜ

 

反町隆史「POISON」

 

篠原涼子 with t.komuro「恋しさとせつなさと心強さと

 

「仲良ピース」

 

尾崎紀世彦また逢う日まで

 

THE BLUE HERATS「情熱の薔薇」

 

 97点オーバーをじゃんじゃん記録した結果、ついに月間グランプリの自己ベストを更新した。

 

 980.306から982.112点にアップ

 点数は微増ながらもランキングは初の500位内の450位!

 

 ヒトカラ後半に歌ったため、キーが高い女性ヴォーカル曲が歌えていれば、もっと高得点になったかも?

 いずれは100点10曲揃えて全国1位になるのも夢じゃない!

 

 次回はタカショーヒトカラ大会2024冬の部を開催します。

 昨年の10~12月に個人的にクリティカルヒットした曲を歌います。

 

月刊モー想科学 6月号の感想と考察(妄想)

<前回までの感想>

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月刊モー想科学 2月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 3月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 4月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

月刊モー想科学 5月号の感想と考察(妄想) - タカショーの雑多な部屋

 

 

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 ついにジローが牛獣人に変身し、獣人祭りになりました。ヤバいよヤバいよ

 

6月号のストーリー振り返り

 イケメンモデルのジョニーの近所に夜な夜な集まる猫の集団。ジョニーは猫アレルギーで、女の子とイチャイチャするために、月刊モーの皆さんに解決を依頼。

 その猫達を率いてたのはモーパーツ持ちの猫だった模様。熊のノイン・パーチコンビと虎タロー&猫連合軍の死闘の末に、ジローが牛獣人に変身。

 牛獣人になったジローは理性があるものの、前世の記憶?に引っぱられていて、自我を無くしているみたい。牛ジローはパーチをワンパンで倒し、今回はモーパーツを奪われずに済んだ。

 さらに、ロックじいさんが経営する喫茶店の地下に、モーパーツのはめ込みが出来るモー大陸の壁画があることが判明。一体どうなってんだ!

 

<各キャラの感想>

タロー・J・鈴木(マッチョ虎獣人になる専業主夫志望)

 虎化したタローが猫と協力して、熊双子と戦ってるシーンは面白かった。今回判明したピッキング能力は、今後も活かされる時が来るのだろうか。

 

ジロー(牛獣人になる少年)

 今回は、ついにエジプト風の牛獣人に変身。しきりにセバスチャンを呼んでいたけど、見つからなかった模様。変身後に自我があれば絶対に大喜びしてただろうに、ちょっと残念。ただ、モー大陸の壁画を見た時に、前世の記憶(?)が蘇ったようで、ジローは今後のストーリーの大きなカギを握ってそう。

 

パーチ(黒いクマになる脳筋)とノイン(白いクマになる頭脳派)

 前回は虎タローに勝利するも、猫軍団と牛ジローによって敗北し、モーパーツも奪えず。もっとモータリアン増やさないとねぇ。次回はボスのチー社長自ら出てくるけど、チー社長も変身できるのだろうか?

 

新たに変身する人は誰だ!?

 前回の記事でサブローが変身するという予想を書いたが、次回予告のサブローがわんわん物語パロで目立ってたので、何か変身しそうな気がする。

 ただ、月刊モーはさらに変身する人がいる予感がする。

 何故なら、初めてジローが牛獣人になれたのに、ED映像が変化してなかったからだ!

 ノインが初めて変身した回ではED映像が変化してなかったが、パーチが初めて変身した回ではED映像が両方とも熊獣人になっていた。このことから、2人同時に変身しなければED映像が変化しないことがわかる。

 よって、ジローと一緒の画面にいるロックじいさんも変身する可能性がある。

 EDの終盤では、ゴローの後ろにいる人々が変身したシルエットが映される。その映像を良く見ると、タローが虎耳、ジローが牛の角、パーチ・ノインが熊耳で対応している。変身予想のサブローとロックじいさんも、何かしらの獣人のシルエットになっているのだ。

 4人でも嬉しいが、さらに1人と1匹が変身するとなると、モー烈に嬉しい!!

 

セバスチャンは誰だ!?

 牛獣人になったジローが呼んでいたセバスチャンとは、誰なのだろうか?

 変身したタローとノインとパーチは違うようなので、今後変身する人がセバスチャンなのかもしれない。

 セバスチャンって執事みたいな名前だよなぁ。じゃあ、羊獣人か。

 月刊モー公式が、キャラクター紹介画像でカバ・牛・ロバ・羊のエジプトの動物シンボルを使っていたので、羊はあり得そう。

 ロックじいさんが羊獣人になりそうだけど、どうなんだろうね。

 

 

 変身する人が増えそうなのが楽しみで、興奮してモー、オーバーサイエンてぃふぃっく!

 

月刊モーの公式サイト↓

https://moh-scientific-anime.com/

 

 

<7月号以降の感想>

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<前回までの感想>

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 双子のノイン・パーチ両方がクマに変身できるようになり、獣人バトルはさらに加速! モー止まるんじゃねぇぞ……

 

5月号のストーリー振り返り

 ゴローは高速道路をスケーティングする高速仮面、タロー達は夜な夜な合宿所を抜け出すフィギュアスケート選手のリョーマを取材しに出かける。

 案の定、リョーマ選手がモーパーツの仮面を付けると、ジョジョ5部のギアッチョばりの周囲を凍らせながらのスケーティングを見せる。路面が凍結し、次々とトラックが横転する事態に。えらいこっちゃ。

 モーパーツは例の双子に奪われ、虎化したタローはクマ化双子に羽交い絞めにされて初の敗北。月刊モー編集部の完全な敗北……。

 ただ、モーパーツから解放されたリョーマ選手は大会を見事に優勝。周りに大迷惑をかけた記憶が残ってないから、めでたしめでたし!(トラック運転手「良くねーよ!」)

 

<各キャラの感想>

タロー・J・鈴木(マッチョ虎獣人になる人)

 虎化したらリョーマ選手とフィギュアスケートのペアのような動きをするまでは良かったけど、クマ化したノイン・パーチにフルボッコにされて残念。

 あと、後述のチー社長の発言により、虎化したタローに自我が無いのは、モータリアンの心が無いせいらしい。まぁ、タローが変身後も自我保ってたら、これが俺の姿なの、どうやって戦ってんんのとかクソうるさそうなので、自我失ってる方がいいかもしんない。

 

パーチ(黒いクマになる脳筋)とノイン(白いクマになる頭脳派)

 モーパーツを2つ揃えたことで、2人とも変身できるように。ふわふわのクマボディながらパンチ力や機動力は人間時よりもパワーアップ。虎化したタローに初勝利を収めたのは、敵ながらあっぱれじゃ。

 EDの映像がクマ化してる演出もいい!

 

リョーマ選手とモーパーツ

 コーチに散々、自己をもっと表現しろと言われた影響か、モーパーツの仮面を付けると高速道路でスケーティングするヤバイ奴に豹変。

 ジロー曰く自己の表現が、モーパーツによって氷原の事故になってるとのこと。今までのモーパーツがもたらす災いは笑い事で済む些細なものだったけど、今回は車が壊れてるし、運転手もケガしてるだろうから、マジでシャレになんねぇぞ……。

 一応、高速仮面の正体を伏せたから、リョーマ選手の名誉が傷つけられることは無いけど……。

 

モーパーツ収集の目的

 今回の話で、ホワイト・ペガサス社がモーパーツを集める目的が、モー大陸を浮上させるためと判明。1月号の私の考察(妄想)のモー大陸の復活が見事に正解。正解したので、モーパーツちょうだい!

 エドワード・チー社長がもふもふしている謎の物体の正体はまだ判明しないが、次回で明らかになるのかな?

 

サブローの正体

 えー、こちらをクリックしていただきたい↓

eeo.today

 

 月刊モーの公式グッズがいくつか載ってるが、アクリルスタンドの影をよく見て下さい。おわかりいただけただろうか?

 タローとジローの影が人間ではなく、虎獣人と牛獣人になっているのだ。細かい演出がステキ!

 ゴローの影は人間。つまり獣化しないということだ。モーパーツに憑かれる人間はモータリアンじゃないのだろう。

 問題は、サブローの影である。

 その影は、人間でも犬でもない。モー、何なのこれー!?

 サブローにモーパーツぶつけたらタコやナメクジみたいな怪物になったら嫌なんだけど。怖いよぉ~。

 

 

 次回は、ついにジローがエジプト風の牛獣人に変身する模様。

 獣人コンビ同士のバトルか?

 

 楽しみで、興奮してモー、オーバーサイエンてぃふぃっく!

 

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<6月号以降の感想>

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月刊モー想科学 12月号の感想 - タカショーの雑多な部屋

十二士島(じゅうにしじま)連続獣化事件〜零〜

 富・名声・愛すべてを手に入れた男・十三(じゅうそう)閏支郎(じゅんしろう)が事故死したニュースは、世界中に大きな衝撃をもたらした。
 あらゆる事業に成功した彼の遺産は100億円にのぼると言われる。妻子のいない彼の遺産を、誰が手に入れるか注目された。
 彼の死から1ヶ月後、遺言状が公開された。

 

 

 私の遺産の相続権は、以下の12名の子ども達にのみ与える。

壱場 睦樹(いちば・むつき)
弐志 如華(にし・じょか)
参東 生弥(さんとう・せいや)
肆乃田 優卯美(しのだ・ゆうみ)
伍島 皐井斗(ごしま・さいと)
陸 水麗(りく・すいれい)
漆原 文吾(うるしばら・ぶんご)
捌条 葉太(はちじょう・ようた)
玖古 長江(きゅうこ・ながえ)
拾央 神助(じゅうおう・しんすけ)
霜奈・エールフ(そうな)
走師郎・ディッセム(そうしろう)

 

 私の遺産は、以上の12名で均等に分配するが、それには条件がある。
 9月24日から30日の1週間、私の別荘がある十二士島(じゅうにしじま)に滞在し、最終日まで残った人間のみが、私の遺産を相続できるものとする。
 なお、島に来るのは子ども達だけであり、それ以外の人間を連れて来た者は相続権を放棄したものと見なす。当然ながら、9月30日までに離島した者も、相続権の放棄と見なす。
 9月30日に相続権を持つ人間が島に1人もいなかった場合は、私の遺産の全額を赤十字募金にあてるものとする。

 

 

 彼は生前、数多の女性と付き合っていたが、正式な結婚はせず、多くの婚外子が産まれた。これは、彼の子ども達に対するせめてもの償いだろうか。

 

***

 

 さびれた漁港で、壱場睦樹は目を細くして、船を探していた。十二士島へ行く船には、黄色い龍のマークがしらっていると聞いたが、一体どこにあるのか。彼は打ち捨てられたような船を、一隻一隻確かめている。

 

「おーい、壱場先生! こっち、こっちぃ!」

 

 彼を呼んだのは、坊主頭のくりっとした瞳の少年である。彼は野球部のユニフォームを着ている。壱場は不機嫌そうな顔を浮かべて、彼に歩み寄る。

 

「おい。その先生呼びはやめろと言っただろう?」
「悪い悪い。でも、先生には違いないっしょ?」

 

 壱場睦樹(いちば・むつき)は、わずか13歳で鷹杉文学新人賞と芥川賞をダブル受賞し神童作家と呼ばれた。しかし、その後の作品は今一つで、処女作の盗作疑惑が浮上するほどだ。最近は推理小説を書いているが、その評価は芳しくない。

 

「僕は大した小説家じゃないよ。睦樹でいいよ、参東君」
「りょ! じゃ、俺のことも生弥と呼んでよ」

 

 ノリの良い少年は参東生弥(さんとう・せいや)と言い、明智第三高校の1年生エースである。MAX154キロのストレートと落差のあるフォークを武器に、今年の夏の全国大会の優勝投手になった。本来なら総体に出場しているが、監督やチームメイトが特別に遺産の相続を優先させてくれた。

 

「わかった、わかった。じゃあ、これに乗ろうか?」
「おっしゃ! どんな兄弟に会えるかなぁ~」
「生弥みたいにうるさいのはゴメンだよ」
「何ぃ!?」

 

 2人はたまたま同じ電車で出会い、意気投合して仲良くなった。小説家と野球少年という文化系・体育会系の違いがあっても、同じ父親の遺伝子を継いでいるから、波長が合うのだろうか。

 

 彼らが船に乗り込むと、パソコンをいじるマスクをつけた少年、目をつぶって瞑想中の紫の長い髪の少女、料理本を読む三つ編みの少女がいた。3人は漁の道具の間に座り、パーソナルスペース分に離れている。

 

「あれ? あと7人足りないね」
「船は6人と5人で分けて、1人は別のルートで行くヨ」

 

 三つ編みの少女が、生弥の疑問を打ち消す。

 

「えっと、君は……」
「あら、ごめんヨ。うちは陸水麗(りく・すいれい)、よろしく」
「俺は参東生弥、生弥でいいよ」
「僕は壱場睦樹です。よろしくお願いします」

 

 3人が自己紹介をしていると、紫髪の少女が目を開けて、おもむろに立ち上がる。

 

「私は玖古長江(きゅうこ・ながえ)。皆様に幸運がありますように」

 

 彼女は腕に巻いた黒い数珠をジャラジャラ鳴らしながら、おじぎする。彼女のスピリチュアルな雰囲気に、睦樹と生弥はドン引きする。

 

「えっと、君の名は?」

 

 マスクの少年はキーボードを叩いてから、パソコンの画面を皆に見せつける。ディスプレイに「漆原(うるしはら)文吾(ぶんご)です。よろしく」と表記されていた。

 

「文吾君はパソコンばっか見て、全く話してくれないヨ。長江ちゃんもあの調子で、会話が続かないし。まともな2人来て助かったヨ」
「そうなんだ。良かったねぇ……」
「こんなのと1週間、同じ島か……」

 

 同じ遺伝子を継いでいても、違った環境で育つとこうも違うのかと、睦樹は実感する。他の兄弟も変わり者が多いのか、少し不安になってきた。

 

「皆さん揃ったので、出しますよー!」

 

 船長が漁船を出航させる。波が高くないので、小さな揺れで済んでいる。睦樹達は座って話し始めた。

 

「俺は野球、睦樹は小説の才能あるけど、水麗ちゃんは何か才能、特技ある?」

 

 初対面の人に足して、かなり大胆な質問だ。ただ、十三閏史郎の子ども達は皆、何かしらの才能を持っているのは事実だ。

 

「うちは料理得意ヨ! 家でむっちり中華料理作ってるからヨ!」
「中華料理かぁ。ひょっとして、そのトランクの中には、マイ包丁が入ってるのかな?」
「その通りヨ。ほら」

 

 彼女がトランクを開くと、文化包丁や刺身包丁など、様々な用途の包丁が入っている。警察に見つかったら、逮捕されそうな量だ。

 

「ワーオ! 本格ぅ! 向こうで水麗ちゃんの料理食べたいなぁ」
「1週間、うちと弐志(にし)さんで作るの決まってるから、食べれるヨ」
「食材はすでに用意されてるのか?」
「あい。弐志さんが乗ってる船に、食料品あるヨ」
「その弐志さんという人とは、どういう関係だ?」

 

 睦樹は立て続けに質問する。推理小説を書いているせいか、少しでも気になることがあれば、質問したくなるようだ。

 

「うちの店の常連ヨ。高校で看護系の学んでるヨ」
「看護師さん志望かぁ。俺の肩も見てもらっちゃお!」
「看護師と料理人か。俺ら子ども達だけで、1週間暮らしていけるよう、上手いことなってるな」

 

 無人島でレトルト料理や不衛生な場所を覚悟していただけに、これは嬉しい誤算である。

 

「1週間いるだけで10億近い金ゲット出来るから、ちょっと不便でも良かったけどな」
「そうヨ。うちも金入ったら、お店拡大して世界進出ヨ!」
「おっ、夢あっていいねぇ。俺の金は野球部の練習機材や用具に使われそうだから、全く夢ないぜ。睦樹は何につかうつもり?」
「言わない」

 

 睦樹は口を真一文字に結び、意地でも言わない姿勢になった。

 

「えー、教えてくれてもいいじゃん」
「言わないったら、言わない」
「どんな夢でも笑わないヨ」
「陰知己(いんちき)教の教会の改築! ああ素晴らしい!」

 

 長江が夢見心地の眼で、急に喋り出した。やはり、彼女と関わるのは避けた方が良いと、3人は思った。文吾は無言で、パソコンに何らかのコードを打ち続ける。

 

***

 

 

※AIに生成させた十二士島の画像


 十二士島(じゅうにしじま)は港の近くに白い洋館が建っており、その後ろに小さな山があった。洋館の近くには松の木や神社があり、和洋折衷の奇妙な外観だ。

 

 5人は船長と別れて、島に上陸する。

 

甲子園球場3個分くらいありそう。広いなぁ」
「この建物も1億ぐらいかかってるんだろうね」
「にしても、何で十二士島なんヨ?」
「それについては、ボクがお答えします!」

 

 カンカン帽をかぶり、丸メガネ、金の腕時計をつけ、昭和初期の男性風の格好をした少年が、5人の前に現れた。

 

関ヶ原の戦いに敗れた西軍の武士12人が島流しにされたのが、この島なんです! 彼らはいつか故郷に帰れるように、漁や農業で生き続けました」

 

 少年は塾の講師のように早口でハキハキと喋り続ける。

 

「その武士たちは故郷に帰れたのか?」
「残念ながら、この島で亡くなりました。近くの島民は彼らの怨霊を恐れて神社を建立し、十二士島と名付けたのです」
「まぁ、かわいそう……」
「後でお祈りしてあげて下さいね」
「とても詳しいねぇ、君。小学生だろう?」
「おっと、自己紹介が遅れました。ボクは拾央神助(じゅうおう・しんすけ)、小学3年生です。他の兄弟たちが、あの屋敷でお待ちですよ」

 

 5人は神助に手招きされて洋館へ向かう。洋館には6人の子どもがいるはずだ。

 

***

 

 洋館に入ると、シンデレラ城のダンスホールのように広い空間が広がっている。その真ん中に十二角形の机があり、5人の子どもが座っている。

 

 睦樹ら5人の後発組が自己紹介した後、先発組が自己紹介をし始めた。

 

「はじめまして、弐志如華(にし・じょか)です。看護師を目指してる高校2年生です」

 

 如華は茶髪のセミロングのぽっちゃりした女性で、、穏やかな雰囲気の女性だ。

 

「肆乃田 優卯美(しのだ・ゆうみ)。サーティー理化学研究所勤務」

 

 優卯美は研究者らしく白衣を着ており、黒い短髪と鋭い目つきの女性だ。他の子は立っているのに、彼女だけ気だるそうに座ったままだ。睦樹は瞬時に、彼女を怖い人と認識した。

 

「伍島皐井斗(ごしま・さいと)ですぅ。絵を描いてますぅ。あっ、中学2年生ですぅ」

 

 皐井斗はかなり痩せた糸目の男性で、服が絵の具で汚れている。彼の机上にはスケッチブックのラフ画が広がっている。

 

「捌条葉太(はちじょう・ようた)ッス。数学が好きな小5ッス」

 

 葉太は焦げ茶のボサボサ髪の元気そうな少年で、兄弟の中では1番まともに見える。

 

「霜奈(そうな)・エールフ。よろしくデス」

 

 霜奈はカールした金髪で鳶(とび)色の瞳を持つ西洋の美少女だ。彼女はドイツと日本のハーフである。

 

「霜奈ちゃんはこの前、パクモンの主題歌歌った凄い子なのよねぇ」
「ちょっ、ちょっとはずいデス……」

 

 如華に補足された霜奈は頬を染めて、うつむき出す。

 

「ええ!? あの綺麗な歌声の子、ヤッバ! サインしてぇ」

 

 生弥は目を丸くして彼女に近づき、ユニフォームの袖にサインを書かせようとする。

 

「そう言う生弥も夏の甲子園優勝投手だろう?」
「最年少の芥川賞作家の方が凄いって」
「いいや! オレの方がスゴいッス! 何と言っても、ピー・カルーの定理(実在しません)の新しい証明方法を見つけたッスから」
「おお! 教科書に載ってたあの!?」

 

 自慢合戦になってきたので、水麗は大きく手を叩いて、皆を黙らせる。

 

「まだ1人いないヨ!」
「ああ。彼は別ルートで来るみたいね」
「別ルート?」

 

 バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ

 

 その時、ヘリコプターが接近する轟音が聞こえて、屋敷が揺れた。

 

「何だ、この音!?」
「彼がやって来たのかも」

 

 如華が外へ出ると、他の皆も後へ続く。洋館の屋上を見れば、ヘリコプターがヘリポートの×印に降りようとしている。

 

「ハロー、エブリワン!」

 

 黒いシルクハットをかぶり、燕尾服を身にまとった七三分けの茶髪の少年が、ヘリコプターから降りてくる。11人の子ども達は洋館の屋上へ続く外側の階段を使って、彼に会いに行く。

 

「ミスター・タナカ、ここまででいいよ」
「グッドラック、坊ちゃま!」

 

 執事服を着たパイロットが扉を閉め、そのまま空へ上がっていく。少年は名ごり惜しそうに、ヘリコプターが小さくなるまで見送っていた。

 

「君が十三氏の子どもかい?」

「イエス! アイム走師郎・ディッセム。ソーシローと呼んでね」

 

 彼は見た目通りに英語が堪能であった。

 

「ディッセムって、もしかしてディッセムランドと関係あるヨ?」
「イエス! ディッセムランドのCEOは、ミーのグランパ(祖父)ね!」
「マジモンの大金持ちじゃねぇか」

 

 わざわざ遺産を手に入れにやって来る必要はないと思うが、ソーシローは目を伏せて、か細い声で言う。

 

「バット、ミーのマンスリーは500ドルね……」
「10万円! 結構あるッスよぉ」

 

 葉太は瞬時に日本円に換算した。多くの子ども達は月に1万円もらえるかどうかなので、彼に羨望の眼差しを向ける。

 

「ビコーズ、ビッグマネーゲットして、ミーだけのテーマパーク作るね!」
「わぁ楽しそう」
「10億ぐらいあったら、日本の遊園地程度の施設は出来るか?」
「正確には遺産は112億で、1人あたり9億3000万円ッス。大型のジェットコースター建てるだけでも10億以上かかるから、テーマパークは無理ッスね」
「オーノー……」

 

 ソーシローはうなだれてしまう。睦樹は葉太に対して注意する。

 

「おい! 小っちゃい子の夢を奪うようなこと言うなよ」
「幼い頃から厳しい現実を知るのも大事ッスよ、元・売れっ子の小説家さん」
「グッ!」

 

 睦樹は葉太の物言いに腹を立てて拳を振り上げたが、生弥が慌てて止める。如華は険悪な雰囲気を振り払おうと、笑顔で喋り始める。

 

「み、皆さん! そろそろお腹が減りましたよね? 下に戻って、ご飯を食べませんか?」

「うん。腹が減ってはいくさが出来ないもんね」

「食べたいデス!」
「じゃ、今から作るヨ!」

 

 睦樹と葉太は睨み合っていたが、フンと言って互いに目を逸らす。ひとまず兄弟ゲンカは避けられた。

 

***

 

 如華と水麗が作ったのは、サンドウィッチとオムライスだった。みずみずしいサンドウィッチと甘くてとろっとしたオムライスに、皆の目がくぎ付けになる。

 

「さぁ、召し上がれ」

「いただきまーす!」
「アウワファーザー・イン・ヘヴン……」

 

 ソーシローは手を重ねて、食前の祈りを始める。

 

「あれ? 霜奈ちゃんは祈らないの?」

 

 神助が隣の霜奈に尋ねる。彼女は首を横に振る。

 

「私の家、ブッディズム(仏教)デス」

「おおう、意外だねぇ」
「おー! このサンドウィッチ、うんま!」

 

 生弥はサンドウィッチをむさぼるように食う。右隣の優卯美は怪訝な表情で、左隣の如華は天使の微笑みで彼を見ている。

 

「良かったら、おかわりあるよ?」
「マジ? サイコー!」

 

 12人の子ども達のランチ。大人の目がないだけに、とても楽しく思えた。

 このまま幸せな時間が流れてほしいと、皆は思っていた。しかし――。

 

「うわあああああああああああ!」

 

 1人の子どもの悲鳴から、奇妙な連続獣化事件の幕が開けてしまった!
(続く)

 

※次回からR18になります。

 

続き↓

十二士島(じゅうにしじま)連続獣化事件〜壱〜(※R18指定) - タカショーの雑多な部屋