最近のヒット曲のイントロ短くなったと思いませんか?
YOASOBIやAdo、ずっと真夜中でいいのに。などのアーティストの曲はいきなり始まりがちです。
待ち時間なしで聴きたいというニーズに合わせて、イントロが短くなり、再生時間も短くなっているようです。
これが本当かどうか調べるため、1970年から5年おきに、オリコンチャート邦楽トップ10の曲で、イントロの秒数と再生時間を調べてみました。音楽の媒体や私の聞き違いで若干の誤差があるかもしれませんが、お許しを。
なお、2010年頃から、某アイドルグループの握手券・投票権商法により、CD売り上げが意味をなさなくなったため、2010年以降はビルボードジャパンのHOT100から邦楽トップ10を出しています。
順位 アーティスト名「タイトル」 イントロ秒数(再生時間数)で記載してます。
1970年
- 1位 皆川おさむ:「黒ネコのタンゴ」 8秒(2分32秒)
- 2位 ザ・ドリフターズ:「ドリフのズンドコ節」 8秒(3分6秒)
- 3位 藤圭子:「圭子の夢は夜ひらく」 10秒(4分11秒)
- 4位 藤圭子:「女のブルース」 25秒(3分55秒)
- 5位 内山田洋とクール・ファイブ:「逢わずに愛して」 22秒(3分45秒)
- 6位 由紀さおり:「手紙」 16秒(2分56秒)
- 7位 ヒデとロザンナ:「愛は傷つきやすく」 10秒(3分17秒)
- 8位 菅原洋一:「今日でお別れ」 25秒(4分17秒)
- 10位 渚ゆう子:「京都の恋」 15秒(2分51秒)
- 11位 ベッツィ&クリス:「白い色は恋人の色」 12秒(2分45秒)
この頃はレコードの記録時間が短かったため、3分以内の曲が多いですね。
平均イントロ秒数は15.1秒、平均再生時間は3分21秒でした。
1番イントロが長かった「女のブルース」を歌ったのは藤圭子。21世紀初頭の日本を代表するシンガーソングライター宇多田ヒカルのお母さんであります。
1975年
- 4位 沢田研二:「時の過ぎゆくままに」14秒(3分23秒)
- 5位 ダウン・タウン・ブギウギ・バンド:「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/カッコマン・ブギ」 16秒(4分35秒)
- 6位 岩崎宏美:「ロマンス」 15秒(3分20秒)
- 7位 風:「22才の別れ」 14秒(3分13秒)
- 8位 細川たかし:「心のこり」 25秒(3分39秒)
- 9位 かまやつひろし:「我が良き友よ」 9秒(3分44秒)
- 10位 山口百恵:「冬の色」 19秒(3分2秒)
山口百恵や沢田研二、岩崎宏美がランクインし、まさに1970年代て感じ!
ちなみに、あのカルトアニメ・「チャージマン研!」が放送させた次の年であります。
平均イントロ秒数は19秒、平均再生時間は3分46秒に伸びました。
1980年
- 1位 もんた&ブラザーズ:「ダンシング・オールナイト」 7秒(3分57秒)
- 2位 久保田早紀:「異邦人 -シルクロードのテーマ-」 27秒(3分41秒)
- 3位 クリスタルキング:「大都会」 26秒(4分53秒)
- 4位 シャネルズ:「ランナウェイ」 0秒(3分10秒)
- 5位 長渕剛:「順子」 15秒(3分6秒)
- 6位 海援隊:「贈る言葉」 19秒(4分6秒)
- 7位 五木ひろし:「おまえとふたり」 22秒(3分26秒)
- 8位 ロス・インディオス&シルヴィア:「別れても好きな人」 20秒(3分16秒)
- 9位 オフコース:「さよなら」 12秒(5分3秒)
- 10位 田原俊彦:「哀愁でいと (NEW YORK CITY NIGHTS)」 16秒(2分39秒)
ついに、イントロなしの曲が出現!
鈴木雅之メインヴォーカルのシャネルズの「ランナウェイ」です。
この頃はニューミュージック勢が台頭してますね。どれも印象深いイントロが勢ぞろい。個人的には久保田早紀「異邦人」が大好きです。
平均イントロ秒数は16.4秒、平均再生時間は3分43秒で、1975年とあまり変わらないですね。
1985年
- 1位 チェッカーズ:「ジュリアに傷心」 19秒(3分58秒)
- 2位 中森明菜:「ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕」 18秒(3分52秒)
- 3位 小林明子:「恋におちて -Fall in love-」 20秒(5分1秒)
- 4位 C-C-B:「Romanticが止まらない」 16秒(3分12秒)
- 5位 チェッカーズ:「あの娘とスキャンダル」 3秒(4分3秒)
- 6位 中森明菜:「飾りじゃないのよ涙は」 17秒(4分10秒)
- 7位 中森明菜:「SAND BEIGE -砂漠へ-」 18秒(4分38秒)
- 8位 チェッカーズ:「俺たちのロカビリーナイト」 11秒(3分45秒)
- 9位 安全地帯:「悲しみにさよなら」 5秒(4分33秒)
- 10位 松田聖子:「天使のウィンク」 15秒(4分2秒)
アメリカに次ぐ経済大国になった余裕からか、4分超の曲が増えました。
平均イントロ秒数は14.2秒で短くなる一方、平均再生時間は4分7秒に伸びました。
なお、この年は阪神タイガースが日本一になった年です。
松田聖子や中森明菜、チェッカーズがいるあたり、80年代って感じがします。
1990年
- 1位 B.B.クィーンズ:『おどるポンポコリン』 14秒(3分11秒)
- 2位 米米CLUB:『浪漫飛行』 15秒(4分6秒)
- 3位 LINDBERG:『今すぐKiss Me』 14秒(3分49秒)
- 4位 たま:『さよなら人類』 1秒(5分20秒)
- 5位 プリンセス・プリンセス:『OH YEAH!』 19秒(4分8秒)
- 6位 中森明菜:『Dear Friend』 15秒(4分42秒)
- 7位 THE BLUE HEARTS:『情熱の薔薇』 19秒(2分56秒)
- 8位 工藤静香:『くちびるから媚薬』 19秒(3分56秒)
- 9位 サザンオールスターズ:『真夏の果実』 18秒(4分40秒)
- 11位 氷室京介:『JEALOUSYを眠らせて』 18秒(4分1秒)
この頃にバンドブームが起き、プリンセス・プリンセスやLINDBERG、ブルーハーツなどが活躍しました。
3分以内から5分超までバラエティ豊かな長さですね。
平均イントロ秒数は15.2秒、平均再生時間は4分4秒です。
1995年
- 1位 DREAMS COME TRUE:「LOVE LOVE LOVE」 22秒(3分25秒)
- 2位 H Jungle With t:「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」 12秒(5分58秒)
- 3位 福山雅治:「HELLO」 16秒(4分)
- 4位 Mr.Children:「Tomorrow never knows」 29秒(5分5秒)
- 5位 Mr.Children:「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」 19秒(4分31秒)
- 6位 MY LITTLE LOVER:「Hello, Again 〜昔からある場所〜」 20秒(5分14秒)
- 7位 桑田佳祐&Mr.Children:「奇跡の地球」 21秒(4分51秒)
- 8位 岡本真夜:「TOMORROW」 9秒(4分45秒)
- 9位 スピッツ:「ロビンソン」 34秒(4分21秒)
- 10位 B'z:「LOVE PHANTOM」 80秒(4分40秒)
この年は何と上位28作が100万枚以上売り上げるというJポップ全盛期!
何かタイトル長い曲多くない?
しかも B'z「LOVE PHANTOM」は歌いだすまで80秒。最初の歌詞が「いらない何も捨ててしまおう」ってのが草
スピッツ「ロビンソン」も1度聴いたら、忘れられないイントロですよね。
大きな力で空に浮かべたら宇宙の風になるはず。
平均イントロ秒数は26.2秒で過去最大(ほぼラブファントム)、平均再生時間は4分41秒に伸びました。
2000年
- 1位 サザンオールスターズ:「TSUNAMI」 0秒(5分13秒)
- 2位 福山雅治:「桜坂」 22秒(4分58秒)
- 3位 宇多田ヒカル:「Wait & See 〜リスク〜」 16秒(4分51秒)
- 4位 倉木麻衣:「Love, Day After Tomorrow」 20秒(4分4秒)
- 5位 浜崎あゆみ:「SEASONS」 47秒(4分25秒)
- 6位 SMAP:「らいおんハート」 29秒(4分25秒)
- 7位 モーニング娘。:「恋のダンスサイト」 26秒(4分29秒)
- 8位 B'z:「今夜月の見える丘に」 12秒(4分11秒)
- 9位 プッチモニ:「ちょこっとLOVE」 23秒(4分2秒)
- 10位 L'Arc〜en〜Ciel:「NEO UNIVERSE/finale」 19秒(4分9秒)
この頃は宇多田ヒカルと浜崎あゆみがヒット曲を連発してますね。あとモーニング娘。出てきてる。
この年がCDシングルのミリオンセラーが二桁を越えた最後の年となり、CDの売り上げがどんどん減少していきます。
パソコンへのコピーを防ぐために、コピーコントロールCDなる音質悪いCDが出てきたよね。
トップ10全て4分超になりました。
平均イントロ秒数は21.4秒、平均再生時間は4分28秒でした。
2005年
- 1位 修二と彰:「青春アミーゴ」 13秒(4分39秒)
- 2位 ケツメイシ:「さくら」 16秒(5分20秒)
- 3位 Mr.Children:「未来」 18秒(5分21秒)
- 4位 ORANGE RANGE:「* 〜アスタリスク〜」 4秒(4分17秒)
- 5位 GLAY×EXILE:「SCREAM」 30秒(4分42秒)
- 6位 KinKi Kids:「Anniversary」 23秒(5分12秒)
- 7位 B'z:「OCEAN」 27秒(5分27秒)
- 8位 ORANGE RANGE:「ラヴ・パレード」 17秒(5分57秒)
- 9位 トラジ・ハイジ:「ファンタスティポ」 31秒(4分25秒)
- 10位 NANA starring MIKA NAKASHIMA:「GLAMOROUS SKY」 1秒(4分27秒)
この前年からORANGE RANGEが台頭。
CDの売り上げを伸ばすために、ドラマ映画のキャラや、有名アーティスト同士のコラボが見受けられます。
平均イントロ秒数は18秒と変わらず。しかし、平均再生時間は4分58秒で、ほぼ5分に!?
2010年(ビルボードジャパンHOT100より)
- 1位 嵐:「Troublemaker」 25秒(4分3秒)
- 2位 嵐:「Monster」 7秒(4分29秒)
- 3位 AKB48:「ヘビーローテーション」 11秒(5分37秒)
- 4位 嵐:「Løve Rainbow」 15秒(4分42秒)
- 5位 嵐:「Dear Snow」 14秒(4分45秒)
- 6位 嵐:「果てない空」 22秒(4分28秒)
- 7位 EXILE:「VICTORY」 31秒(5分25秒)
- 8位 SMAP:「This is love」 13秒(3分56秒)
- 9位 嵐:「To be free」 17秒(3分45秒)
- 10位 桑田佳祐:「本当は怖い愛とロマンス」 25秒(3分35秒)
この頃は嵐とAKB48の2強に。一部ではJポップ暗黒時代と呼ばれてますね。
平均イントロ秒数は18秒、平均再生時間は4分48秒でした。
2015年(ビルボードジャパンHOT100より)
- 1位 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE :「R.Y.U.S.E.I.」 30秒(5分25秒)
- 2位 嵐:「Sakura」 21秒(4分41秒)
- 3位 嵐 :「愛を叫べ」 35秒(4分40秒)
- 4位 嵐 :「青空の下、キミのとなり」 26秒(4分5秒)
- 5位 SEKAI NO OWARI:「Dragon Night」 4秒(3分51秒)
- 7位 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE -「Summer Madness」 16秒(4分34秒)
- 8位 AKB48 - 「僕たちは戦わない」 16秒(5分27秒)
- 9位 ゲスの極み乙女。:「私以外私じゃないの」 6秒(3分52秒)
- 10位 家入レオ:「君がくれた夏」 24秒(4分18秒)
- 11位 西野カナ:「トリセツ」 12秒(4分22秒)
嵐とAKB一味の2強時代が続くものの、セカオワやゲス極がランクイン。
音作りにこだわったセカオワは、当時ハマりましたね。
平均イントロ秒数は19.2秒、平均再生時間は4分31秒でした。
2020年(ビルボードジャパンHOT100より)
- 1位 YOASOBI「夜に駆ける」 1秒(4分21秒)
- 2位 Official髭男dism「Pretender」 31秒(5分27秒)
- 3位 LiSA「紅蓮華」 0秒(3分59秒)
- 4位 Official髭男dism「I LOVE...」 23秒(4分43秒)
- 5位 King Gnu「白日」 0秒(4分35秒)
- 6位 瑛人「香水」 15秒(4分12秒)
- 7位 Official髭男dism「宿命」 12秒(4分42秒)
- 8位 あいみょん「マリーゴールド」 20秒(5分7秒)
- 9位 LiSA「炎」 15秒(4分34秒)
- 10位 あいみょん「裸の心」 18秒(4分57秒)
Jポップ黄金時代来たる!
トップ10に色んなアーティストがいて、いいぞーこれ。
やはりイントロ数秒以内か、20秒以上の二極化が進んでる模様。
お前もカラオケの鬼にならないか?
これ超難しいんですよ。
髭男は印象に残るメロディー作るのが本当に上手いと思う。
ホンマにあいみょんの曲ええわぁ。
平均イントロ秒数は一番短い13.5秒、平均再生時間は4分39秒でした。
というワケで、次第にヒット曲の再生時間が長くなり、95年にはイントロがかなり長くなり、21世紀に入ると再生時間が5分近くに、20年にイントロが短くなるというヒット曲の時間の変遷を見てきました。
これからどんな曲が出てくるか楽しみですねー。